最終処分基本方針の改定に伴う「対話の場」の重要性

7年ぶりに改定された最終処分基本方針は、2008年基本方針に比して国民や地域社会の最終処分問題についての情報共有、国が前面にたった取り組み、処分地選定に貢献する地域に対する支援などについて新たに付け加えられた多くの記述が見られます。また、最終処分地の選定など地層処分技術が社会に定着するには国民や地域社会の参加の下に政策を進めることを明確に示しました。最終処分法制定ののち、15年を経て文献調査に入れなかった状況を変える鍵が、新しい基本方針に盛り込まれていると言えます。
特に、最終処分地選定などに協力する地域に対する敬意と感謝の念や社会として利益還元の必要性が国民に共有されることが重要であるとしています。原子力発電所の運転に対する電力消費地自治体の冷淡な姿勢などは記憶に新しい問題です。
処分地選定調査に協力をする自治体を中心に地域社会が地域の考えを集約できるように、多様な考えや価値観を持っている住民が参加する「対話の場」を設置できるよう、国やNUMOが支援します。対話の場では、地域の持続的な発展に向けた検討が期待されています。このような「対話の場」は、いわゆるパートナーシップ(partnership)(「協働」が日本語訳)と呼ばれる意思決定が難しい公共的な政策などを円満に解決する政策手法として欧米や日本でも導入されてきています。「対話の場」は、国やNUMOと地域社会が協働する参加政策の核心部分であり、国やNUMOの最終処分政策が信頼されて初めて実現できることになるものと思います。

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